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連携の取組み

1.教育の質保証の第一ステージからの離陸

平成20年12月に公表された中央教育審議会答申「学士課程教育の構築に向けて」において指摘さ れているように、今後は各大学が自らの教育理念と目標に基づき、学生の成長を実現する学習の場として学士課程を充実させることが強く求められています。

上記答申が提起する最重要課題は、第2章「学士課程教育における方針の明確化」で詳述されています。第4章では、その課題の解決方策として、「大学間の連携、開かれた協同のネットワークの構築」を視野に入れた「公的及び自主的な質保証の仕組みの強化」の必要性が力説されていますが、「学位授与の方針」「課程編成・実施の方針」「入学者受入れの方針」という「3つの方針」を統合的かつ客観的に自己点検・評価する質保証システムのモデルは、依然として模索状態にあり、「開かれた協同のネットワークの構築」に関しては、その共通認識さえ確立していないのが日本の大学の現状です。

「学位授与」「課程編成・実施」「入学者受入れ」に関する「3つの方針」は個別大学の個性・特色を反映し、大学ごとにこれを策定するべきですが、一方では、学生に対する教育効果、学生の学習成果を測定し、その改善の過程を多くの大学が共有することにより、より良い教育環境を提供し、教育方法等を開発していくことは、高等教育全般の質の向上のためにも重要です。高等教育の質的向上のために、GPA制度、CAP制の導入、単位の実質化等の方策がすでに多くの大学で実施されていますが、そうした方策を十分に機能させ、教育の質保証を推進するためには、IR機能の開発が有効です。

IR(Institutional Research:機関研究)とは、個別大学内の様々な情報を収集して、数値化・可視化し、評価指標として管理し、その分析結果を教育・研究、学生支援、経営等に活用することです。IRには①個別大学内での改善のための調査・分析と、IR先進国ですでに行われている②ベン チマーキングのための全国調査や複数機関間の「相互評価」による自機関の相対的な位置付けのための調査・分析という二つの機能があります。

本連携取組では、各大学がシラバス、GPA制度、CAP制、学生調査等を導入してきた過去を教育の質保証の「第一ステージ」、IR機能の充実、IRを活用した連携大学間の相互評価、その評価結果を単位の実質化、学生の学習時間の確保に結びつける教育環境の整備の段階を「第二ステージ」と位置付けます。さらに、第二ステージまでの取組成果を学生教育に還元するため、外国語(英語)教育のアウトカム目標の設定、英語科目のナンバリング制等を検討します。そして、本取組の最終目標であるIRを基盤とした全国規模の大学コミュニティ育成を目指す将来を「第三ステージ」と位置付けます。第二ステージ以降の、戦略的な大学連携の推進による教育の質保証の実質化が、本取組の目的です。

2.「教育の質保証の第二ステージ」推進に向けて

連携大学間の「相互評価」から連携を活かしての質保証の枠組みづくりへ

教育の質保証推進の指針は、上記学士課程教育答申に詳しく記述されています。その第2章第2節では、「学生が本気で学び、社会で通用する力を身につけるよう、きめ細かな指導と厳格な成績評価」を実施することが不可欠であり、「学生の視点を踏まえつつ、指導方法、成績評価の改善を講じ、学生が社会で通用する 力を確実に身につけさせるようにすることがいよいよ重要となっており、学生本位の改革を進めていくことが求められている」と述べられています。

本取組では、この「学生本位の改革」を目指して、IRの推進を通じて連携大学間の「相互評価」を活かし、教育の質保証の枠組みの整備を進めます。「単位制度の実質化」には、学生の学習時間の確保 が不可欠であり、シラバスの到達目標の達成には、自主的学習の充実と履修科目の適切な選択が鍵となります。それには、学生に関する教務情報と学生調査等の評価データを総合的に分析し、改善に活かす必要があります。教育改善を進めるには、経験や直感よりも、客観的なデータに基づいて現状評価を行う必要があります。本取組は、10年という長いスパンで、IRを通じて客観的なデータに基づいた評価文化を現代の高等教育機関全体に広げることを展望しています。本連携取組で行う「IRを通じての相互評価」の主要な課題は、IRの②ベンチマーキングのための複数機関間比較・相互評価という機能を活かして、教育・学生支援、特に外国語教育(英語)課程の充実へ結びつけていく質保証の枠組みの整備です。

連携取組概念図